日本政策金融公庫は、100%政府出資の政策金融機関です。
日本政策金融公庫では、起業家が利用できる低利の融資制度を扱っています。
ここでは、その内の一つ「新創業融資制度」について解説しています。
※女性または35歳未満か55歳以上の方は、「女性、若者/シニア起業家支援資金」を受けられる可能性があります。「女性、若者/シニア起業家支援資金」については、こちらをご覧ください。
日本政策金融公庫の新創業融資制度とは
日本政策金融公庫の新創業融資制度は、これから起業・創業する方やすでに起業・創業しているが税務申告を2期終えていない方が利用できる制度です。
- 無担保、無保証人で利用できます。
- 融資の額は3,000万円以内(うち運転資金1,500万円以内)です。
- 原則として、自己資金(資金総額の10分の1以上)があることが必要です。
この「自己資金が10分の1以上ある」という要件は、融資の申込のためのものと思ってください。実際に融資を受けるには、「なるべく多く自己資金を用意する」必要があると言えます。
日本政策金融公庫の新創業融資制度の概要
利用できる方 | 次の1~3のすべての要件に該当する方 1.創業の要件 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方 2.雇用創出等の要件 「雇用の創出を伴う事業を始める方」、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」又は「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」等の一定の要件に該当する方(既に事業を始めている場合は、事業開始時に一定の要件に該当した方) なお、本制度の貸付金残高が1,000万円以内(今回のご融資分も含みます。)の方については、本要件を満たすものとします。 3.自己資金要件 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方 ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします。 ※事業に使用される予定のない資金は、本要件における自己資金には含みません。 |
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資金の使いみち | 事業開始時または事業開始後に必要となる事業資金 |
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) |
返済期間 | 各種融資制度で定める返済期間以内 |
利率(年) | 基準利率:2.46~2.85 (2020年(令和2年)7月1日現在、年利%)利率は条件により異なります。 特別利率が適用されることもあります。 利率の詳細は、日本政策金融公庫のホームページでご確認ください。 |
担保・保証人 | 原則不要 |
新創業融資を受けるための要件
上で説明したように、新創業融資制度を受けられるのは、以下の3つの要件をすべて満たす方です。
1.創業の要件
- これから起業する方
- 既に起業している方でも創業2期以内(決算を1回しか終えていない)であれば、OKです。
2.雇用創出等の要件
次のいずれかに該当する方が対象です。
- 雇用の創出を伴う事業を始める方
- 技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方
- 現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方
(1)現在の企業に継続して6年以上お勤めの方
(2)現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方 - 大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方
- 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方
- 地域創業促進支援事業又は潜在的創業者掘り起こし事業の認定創業スクールによる支援を受けて事業を始める方
- 公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けて事業を始める方
- 民間金融機関(注4)と公庫による協調融資を受けて事業を始める方
- 前1~8までの要件に該当せず事業を始める方であって、新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると公庫が認めた方で、1,000万円を限度として本資金を利用する方
- 既に事業を始めている場合は、事業開始時に前1~9のいずれかに該当した方
自分が経験したことのない業界で起業する方でも、従業員を雇い入れることを考えているのであれば1.の要件を満たしますのでOKです。
これから起業する方で融資額が1,000万円以内の方は、上記9.に該当しますのでOKです。
3.自己資金要件
新たに起業する方、起業して1期以内の方は、原則として創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できることが必要です。
自己資金要件を満たすとされるのは次の方々です。
- 前3~8に該当する方
- 新商品の開発・生産、新しいサービスの開発・提供等、新規性が認められる方
(1)技術・ノウハウ等に新規性が見られる方
(2)経営革新計画の承認、新連携計画、農商工等連携事業計画、地域産業資源活用事業計画、地域産業資源活用支援事業計画又は経営力向上計画の認定を受けている方
(3)新商品・新役務の事業化に向けた研究・開発、試作販売を実施するため、商品の生産や役務の提供に6ヵ月以上を要し、かつ3事業年度以内に収支の黒字化が見込める方
(4)中小企業等経営強化法に基づく中小企業の新たな事業活動の促進に関する基本方針に定める新たな取り組みを行い、2年間で4%以上の付加価値額の伸び率が見込まれる方 - 中小企業の会計に関する指針または基本要領の適用予定の方
(出典:日本政策金融公庫ホームページ『新創業融資制度』)
※新創業融資制度の中身は年度により異なります。最新の要件等については、必ず日本政策金融公庫のホームページで確認してください。