設立基本事項決定

株式会社を作るときには、実際に作る前に決めておくべきことがあります。

最初にしっかりと決めておくと、後の手続きがスムーズにできます。

ここでは、株式会社を作る前に決めておくべき、8つのことについて説明しています。決めるべき人は発起人です。

  1. 本店所在地(会社の住所)を決める
  2. 商号(会社の名前)を決める
  3. 事業目的(会社の事業内容)を決める
  4. 資本金の額を決める
  5. 株式の発行事項を決める
  6. 株式会社の機関(役員)を決める
  7. 事業年度(決算時期)を決める
  8. 公告する方法を決める

発起人とは

発起人とは、会社の設立を企画し、設立手続きを行ない、定款に発起人として署名または記名押印した 人のことをいいます。

定款に発起人としての署名等をしていない人は、実際に設立に関わったとしても、発起人とは認められません。逆に、実際に設立に関わっ ていなくても、発起人として定款に署名等をした人は、発起人とされます。

株式会社を設立するには、最低一人の発起人が必要です。発起人は、必ず株主になります。

発起人の資格には制限がありません。外国人、制限行為能力者や法人も発起人になることができます。未成年者の場合は、法定代理人の許可が必要です。

 

本店の所在地とは

本店の所在地は定款の絶対的記載事項です

本店の所在地とは、会社の住所のことです。定款の絶対的記載事項とされていて、定款には必ず記載しなければなりません。

本店の所在地の定款への記載方法

本店の所在地の定款への記載には、次の2通りの方法があります。

  1. 市区町村まで記載
    本店の所在地の定款への記載は、独立の最小行政区画まででいいとされています。独立の最小行政区画とは、市区町村のことをいいます。この場合、本店の移転がその市区町村内の移転であれば、定款変更は不要です。
    この場合は、具体的な所在場所を決定したことを証明するために「発起人決定書」や「発起人会議事録」などの「地番まで記載した議事録」を作成する必要があります。設立登記の申請時に、「発起人決定書」や「発起人会議事録」などを添付します。
    定款への記載例)
    「当会社は、本店を神奈川県横浜市に置く。」
  2. 地番まで記載
    本店を移転する度に定款を変更する必要があります。定款を変更するには手数料がかかりますので、「市区町村まで記載」する場合が多いようです。
    地番まで記載した場合は、上記の「地番まで記載した議事録」を作成する必要はありません。
    定款への記載例)
    「当会社は、本店を神奈川県横浜市中区○○町1丁目1に置く。」

本店の所在地の登記

登記を申請する場合には、定款への記載とは異なり、本店の所在地は具体的な所在場所まで記載しなければなりません。つまり、登記における本店の所在地は、地番まで具体的に記載しなくてはいけません。

登記申請書への記載例)
「1.本店  神奈川県横浜市中区○○町1丁目1」

 

商号とは

商号は定款の絶対的記載事項です

会社の名称のことを商号といいます。商号は基本的には自由に決めることができますが、株式会社の商号には前か後ろに株式会社という文字を入れなければなりません。

例)神奈川商事株式会社、株式会社神奈川商事

商号は自由に決めることができるといっても、言いにくい名前や難しい漢字を使うのは避けるのがいいと思います。

商号に使える文字には制限があります

法律上使用が禁止されている文字は使用できないなどの制限があります。例えば、銀行業を行なわない会社は「銀行」という文字を使用できません。

商号に使える文字や符号

商号に使える文字や符号には制限があります。使える文字・符号は、次のとおりです。

  1. 漢字
  2. ひらがな
  3. カタカナ
  4. ローマ字(大文字・小文字)
  5. アラビヤ数字(0,1,2,3,4,5,6,7,8,9)
  6. 「&」(アンパサンド)
    「’」(アポストロフィー)
    「,」(コンマ)
    「-」(ハイフン)
    「.」(ピリオド)
    「・」(中点)
    ※これらの符号を使用できるのは、字句(日本文字を含む)を区切る際の符号として使用する場合に限られます。

商号に使える文字について詳しくは、法務省のホームページ『法務省:商号にローマ字等を用いることについて』を参照してください。

前株(まえかぶ)と後株(あとかぶ)

前株(まえかぶ)、後株(あとかぶ)のどちらがいいのかという疑問があるかもしれません。結論は、どちらでも問題はありません。

データとしては、古くからの企業が多い東証一部上場企業では後株(あとかぶ)の方が多く、新興企業が多い東証マザーズでは前株(まえかぶ)の方が多いというものがあります。

人は文字の最初から覚えるので、社名を先にして株式会社を後にした方がいいという人もいます。

いずれにしても、前株(まえかぶ)、後株(あとかぶ)に決まりはありません。

 

事業目的(会社の目的)とは

事業目的は定款の絶対的記載事項です

会社が行なう事業の内容のことで、定款の絶対的記載事項です。

事業目的を決める上での3つのルール(事業目的の適格性)

事業目的を決めるにあたっては、守るべき3つのルールがあります。

  1. 明確性
  2. 適法性
  3. 営利性

これらのことを事業目的の適格性といいます。

1.明確性

明確性とは、目的に用いられている語句の意味が明らかであり、目的全体の意味が明らかであることをいいます。

「広辞苑」などの国語辞典や「知恵蔵」「イミダス」「現代用語の基礎知識」などの現代用語事典に記載があると、明確性があるとされているようです。

2.適格性

事業目的の内容が法令や公序良俗に反していないことが必要です。

法令で弁護士、司法書士等の独占業務とされている業務も事業目的とすることが出来ません。

3.営利性

会社は利益を得ることを目的として、言い換えると営利を目的として、設立されます。このことから、「事業目的は営利性のあるものでなくてはならない」といわれることがあります。が、実はそうではありません。非営利の活動のみを目的にすることはできないと考えれば構いません。

事業目的に適格性が認められないと登記ができないことになってしまいます。それを避けるために、適格性について事前に確認します。(事業目的の適格性の確認について

会社が行なえる事業

会社は、定款に記載された事業のみを行なうことができます。定款に記載されていない事業を行なうには定款変更が必要ですので、将来行なう予定の事業も記載しておきます。

ただし、あまり関連性のないものを記載しすぎると、会社の信用性に関わることもありますので、むやみやたらと多くしないようにします。また、許認可が必要な場合、不利益を受ける可能性もあります。

事業の内容によっては許認可が必要なものも

事業内容によっては、許認可が必要なものがあります。許認可が必要なものについては、許認可を受けるための要件や申請先などを確認しておきます。

許認可が必要な業種については、こちらをご参照ください。

 

株式会社の資本金はどうする?

資本金1円で株式会社を設立できる?

現行の会社法では、株式会社の資本金の額に制限はありません。資本金1円から株式会社を設立することができます。しかし、資本金が1円では当面の運転資金にも回せませんし、会社の信用力にも疑問符がつけられると思います。

株式会社の資本金を決めるための4つのポイント

資本金の額を決める際は、以下のポイントを考慮するとよいでしょう。

1.最低でも3か月分の運転資金を用意する

売上がすぐに上がらなくてもいいように、最低でも3か月程度の運転資金は用意しておいた方がいいでしょう。

2.消費税の免税期間の特例を考慮する

資本金が1000万円未満の新設法人は、1期目、2期目の消費税の納税を免除されるというメリットがあります。ただし、課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間から課税されるようになります。

消費税法はたびたび改正されるため、最新の情報は国税庁のホームページなどでご確認ください。

3.新創業融資制度を考慮する

日本政策金融公庫の新創業融資制度は、自己資金の額によって融資額が変わります。新創業融資制度を検討している場合は、その点を考慮して資本金を決めましょう。

詳しくは、日本政策金融公庫の最寄りの支店にお問い合わせください。日本政策金融公庫の支店は、日本政策金融公庫のホームページ『店舗案内』で調べることができます。

4.許認可等を考慮する

許認可等が必要な業種の場合は、資本金などの額に制限があることがありますので、注意が必要です。

例えば、一般建設業の許可を受けるには、自己資金が500万円以上必要です。

宅建業の免許を申請する場合は、資本金ではありませんが、一定の場合保証金の供託が必要です。

詳しくは、監督官公署にお問い合わせください。

株式会社の資本金のまとめ

資本金1円で株式会社を作れるのは事実です。

ここでは、資本金を決めるために考慮すべき4つのポイントをご紹介しました。これら以外にも会社の実情に合わせて考慮すべきことはあると思います。

資本金の額は、安易に決めない方がいいでしょう。

 

株式について決めるべきことは?

発行可能株式総数

発行可能株式総数とは、会社が発行することができる株式数の上限のことをいいます。定款の絶対的記載事項とされています。将来いくらまで資本金を増やしたいかを考慮して発行可能株式総数を決めます。

会社設立時に発行する株式数とは異なります。

発行可能株式総数×一株あたりの金額が資本金として増額できる上限です。

発行可能株式総数は、原始定款(※)作成時には定めなくても構いません。発行可能株式総数を原始定款で定めなかった場合には、設立登記申請までに、発起人全員の同意で定款を変更して発行可能株式総数を定めなければなりません。

公開会社では、設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることができません。非公開会社には、このような制限はありません。公開会社、非公開会社については、下記をご覧ください。

※原始定款とは
株式会社設立時の最初に作成する定款を原始定款といいます。

発行可能株式総数が少ないと、増資をすると資本金の上限にすぐに達してしまう可能性があります。そうすると、増資の際は定款を変更しなければならなくなります。そうならないためにも、発行可能株式総数を大きくしておくことをおすすめします。

株式の譲渡制限

株式は自由に譲渡することができるのが原則ですが、定款に定めることにより発行する株式の全部または一部を譲渡により取得するには会社の承認を要すると定めることができます。このような株式を譲渡制限株式といいます。

株式の譲渡制限は、定款で定めなければ効力が認められません。

ひとり会社などの小規模な会社では、通常は譲渡制限を設けます。

定款記載例

「当会社の株式を譲渡により取得するには,当会社の承認を受けなければならない。」

公開会社と非公開会社

公開会社、非公開会社とは下記のような会社のことをいいます。

  1. 公開会社
    発行する全部または一部の株式の内容として、譲渡による取得について会社の承認を要する旨の定めを設けていない会社をいいます。分かりやすく簡単にいうと、「株数に関係なく自由に株式を譲渡できる株式を発行できる会社」のことです。上場会社のことではありません。
  2. 非公開会社(株式譲渡制限会社)
    発行する全部の株式の内容として、譲渡による株式の取得について会社の承認を要する旨の定めを設けている会社をいいます。言い換えると、「すべての株式を定款で譲渡制限している会社」のことです。公開会社以外の会社です。

設立時発行株式に関する事項

定款または発起人全員の同意で以下の事項を定めなければなりません。

  1. 発起人が割当てを受ける設立時に発行する株式の数
  2. 発起人が割当てを受ける設立時に発行する株式と引換えに払い込む金銭の額
  3. 成立後の会社の資本金・資本準備金の額に関する事項

 

株式会社の機関とは

会社の意思決定や業務執行等は、会社の機関が行ないます。

株式会社の機関には、株主総会、取締役、取締役会、監査役、監査役会、会計参与、会計監査人、委員会があります。株主総会と取締役はすべての会社で必要です。

以下では、株主総会と小規模会社では通常置かれることがない監査役会、会計監査人および委員会を除いています。

取締役

株式会社には、1人又は2人以上の取締役を置かなければなりません。

取締役は、原則として、会社の業務を執行し、会社を代表します。

取締役の任期は、原則2年ですが、非公開会社においては、定款により、10年まで伸長することができます。

取締役会

公開会社は、取締役会を置かなければなりません。

取締役会を置く場合、取締役は、3人以上でなければなりません。

監査役

監査役とは、取締役の職務を監査する機関のことです。

取締役会設置会社は、非公開会社かつ会計参与設置会社である場合を除き、監査役を置かなければなりません。

監査役の任期は、原則4年ですが、非公開会社においては、定款により、10年まで伸長することができます。

代表取締役

代表取締役とは、会社を代表し、業務を執行する機関のことです。

  1. 取締役会設置会社の場合
    取締役会で取締役の中から代表取締役を選定しなければなりません。
  2. 取締役会非設置会社の場合
    定款、定款の定めに基づく取締役の互選または株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を選定することができます。

会計参与

会計参与は、取締役と共同して、計算書類等を作成します。

会計参与は、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人でなければなりません。

会計参与を置くことは、原則として任意ですが、非公開会社で取締役会設置会社が監査役を置かない場合には、会計参与を置かなければなりません。

会計参与の任期は、取締役と同じです。

機関設計のパターン

小規模の会社では、次のような機関構成が考えられます。

  1. 取締役のみ
  2. 取締役+監査役
  3. 取締役+会計参与
  4. 取締役+監査役+会計参与
  5. 取締役会+監査役
  6. 取締役会+会計参与
  7. 取締役会+監査役+会計参与

定款の規定がない場合は、1.になります。公開会社は、取締役会の設置が義務付けられているので、5.から7.のうちから選択します。

 

事業年度(決算時期)とは

会社は決算をしなければなりません。決算は1年以内で区切った期間にしなければなりません。その期間を事業年度といいます。

事業年度は定款の任意的記載事項とされています。つまり、定款で定めても定款以外で定めても構いません。

事業年度は自由に設定することができます。事業年度の区切りとなる期間を決算期といいます。会社の設立後最初の事業年度(初年度)の開始の日は、会社の設立の日とされています。

決算時期の決定は、次のような観点から行ないます。

  1. 会社設立時期を基準とする。
    設立後間もないと、すぐに確定申告をする必要があるためです。
    例えば、7月1日に会社を設立し、決算時期を7月末日とすると、会社を設立してすぐに決算をして確定申告をしなければなりません。
    7月1日に会社を設立し、決算時期を翌年6月末日とすると、ほぼ1年間決算時期を先延ばしすることができます。
  2. 会社の繁忙期を避ける。
    会社は決算月から2か月以内に確定申告書を税務署に申告する必要があるので、繁忙期と重なると通常業務に支障が出る可能性があるためです。
  3. 国の会計年度に合わせる。
    日本国の会計年度は、毎年4月1日から翌年3月31日です。
    社会一般的にはこのタイプの3月決算が多いようです。

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